ゴミ屋敷問題は、その解決に際して、住人、貸し主、そして行政が直面する多くの「法的問題」と、それに伴う「責任の所在」を明確にする必要性という大きな問題点を抱えています。単一の法律で直接的に規制できない日本の現状が、問題解決を一層困難にしています。まず、賃貸物件の場合、借り主には「善管注意義務」が課せられます。これは、善良な管理者として物件を適切に維持管理する民法上の義務であり、ゴミ屋敷化はこれに違反します。このため、貸し主は、借り主に対して契約解除を申し入れ、退去を求めることができます。また、退去時には、ゴミの撤去費用、特殊清掃費用、修繕費用など、ゴミ屋敷化によって生じたあらゆる損害に対する「原状回復義務」が借り主に生じます。これらの費用は敷金を大幅に超えることが多く、支払われない場合は法的な請求手続きが必要となります。一方で、貸し主にも「物件管理責任」があります。借り主がゴミ屋敷状態にあることを知りながら長期間放置した場合、貸し主も近隣住民からの苦情や損害賠償請求の対象となる可能性があります。特に、ゴミ屋敷が火災や害虫の発生源となり、近隣に被害が及んだ場合、貸し主もその責任を問われることがあります。そのため、貸し主は異変に気づいた際には速やかに状況確認を行い、借り主への指導や、必要であれば法的手続きを進める責任があります。次に、行政は「廃棄物処理法」「建築基準法」「消防法」「公衆衛生条例」など、既存の様々な法規や自治体が独自に定める「ゴミ屋敷条例」を組み合わせて介入します。しかし、個人の財産権やプライバシー保護の観点から、所有者の同意なしに介入することは困難であり、強制撤去に至る「行政代執行」も厳格な手続きと公益上の緊急性が求められます。所有者が不明な場合や、支払い能力がない場合は、費用の回収も課題となります。このように、ゴミ屋敷問題は、個人の倫理的責任、契約上の義務、そして公衆衛生や安全を守るための公的責任が複雑に絡み合い、その解決には多角的な法的アプローチと、責任の明確化が不可欠な問題点なのです。
法的な問題と責任の所在