私はこれまで、様々な事情を抱えた人々の「ゴミ屋敷」の片付けに携わってきました。その中で、多くの人が直面する共通の悩みが、ネズミの存在です。彼らはいつの間にか住み着き、静かに、しかし確実に生活空間を侵食していきます。ある依頼者の話です。彼女は数年前から体調を崩し、徐々に家事が困難になっていきました。最初は少し散らかる程度だった部屋は、いつの間にか足の踏み場もないほどのゴミで溢れかえるようになり、やがて夜中に天井裏からカタカタと音がするようになったと言います。最初は古くなった家だから仕方ないと思っていたそうですが、ある日、台所で黒い影が走り去るのを目撃し、それがネズミだと確信したそうです。そこからの彼女の恐怖と絶望は想像に難くありません。ネズミの存在は、単なる不快感だけでなく、精神的な負担を大きくします。衛生面での不安はもちろんのこと、彼らが引き起こす病原菌の媒介や建物の損傷など、様々なリスクがつきまといます。私は片付け作業に入る前に、まずネズミの駆除業者と連携し、彼らの専門的な知識と技術でネズミの数を減らすことを提案しました。なぜなら、ネズミが活動している状況での清掃は、作業員の安全だけでなく、再びネズミが戻ってくるリスクを伴うからです。駆除作業と並行して片付けを進めると、ネズミたちが作り上げた巣や、彼らが齧った痕跡が次々と現れました。特に印象的だったのは、彼女が大切にしていたアルバムや手紙が、ネズミの糞尿によって汚染されていたことです。彼女の悲しむ姿を見て、私は改めてゴミ屋敷が引き起こす問題の深刻さを感じました。ゴミ屋敷とネズミの問題は、決して他人事ではありません。誰にでも起こりうる問題であり、一度発生すると解決には専門的な知識と根気が必要です。だからこそ、早めの対策と、必要であれば専門家への相談が重要であると、私はこの経験を通じて強く思うのです。