私たち不用品回収業者は、日々、様々なゴミ屋敷の現場に立ち会っています。その経験から言えるのは、ゴミ屋敷の片付けには、ただ力任せに物を運び出すだけではない、「コツ」があるということです。もし、あなたが自力での片付けを試みる、あるいは、業者に依頼する前の準備として、少しでも作業を進めたいと考えているなら、ぜひこのプロの視点を取り入れてみてください。まず、最も重要なコツは、「エリアを限定し、ゴールを明確にする」ことです。家全体を一度に綺麗にしようとすると、その途方もなさに心が折れてしまいます。最初は、「玄関の靴を置くスペースだけ」「今日はこのテーブルの上だけ」というように、極めて狭い範囲にターゲットを絞りましょう。そして、「この一角を、床が見える状態にする」という、具体的で達成可能なゴールを設定します。この小さな成功体験を積み重ねることが、モチベーションを維持する上で何よりも大切です。次に、「ゴミの動線を確保する」という視点です。片付けたゴミをスムーズに家の外に運び出すための「道」を、最初に作りましょう。玄関からスタートし、廊下、そして各部屋へと、まず人が一人通れるだけのスペースを確保します。この動線があるだけで、その後の作業効率は劇的に向上します。作業中は、「要る・要らない」の判断に時間をかけすぎないことも重要です。判断に迷う物は、一旦「保留ボックス」に入れて、後でまとめて考えるようにしましょう。一つの物で悩み始めると、作業が完全にストップしてしまいます。まずは、明らかにゴミだと分かる物(生ゴミ、空き容器、不要な紙類など)を、どんどんゴミ袋に入れていくことに集中します。これを「捨てる作業」と呼びます。そして、部屋全体のゴミの量が減り、空間に余裕ができてから、改めて「保留ボックス」の中身を、時間をかけて仕分ける「整理作業」に移るのです。この「捨てる」と「整理する」を、意識的に分けること。これが、混沌としたゴミの山を効率的に攻略するための、プロのテクニックなのです。
不用品回収業者が教えるゴミ屋敷片付けのコツ